お子様の健康を守り・育てるために

一生、健康な歯で食事や会話をし、微笑むことができたら
どんなに幸せな事でしょう。
私たちは、お子様の歯と口の健やかな発育を願って、
ご家族の方々とご一緒に、お口の健康管理をすすめていきたいと考えています。
最初の重要なステップは、健康な永久歯列の完成です。
子供の歯は、むし歯になりやすく、お口の環境や生活も
むし歯に侵されやすい条件を備えています。
しかし、たとえ乳歯が残念ながらむし歯になったとしても、
その原因を科学的にきちんと見つけ、
対応し予防することで、むし歯のない健康な永久歯列を完成させることは、
今では決して難しいことではありません。
最近の研究により、むし歯はその原因も予防法もわかっている病気です。
ただし、むし歯がお口の中にできてしまう条件は人によって違いがありますので、
個人のリスクに合わせた対応をする必要があります。
甘いものが好きなのにむし歯になりにくい人、よく歯磨きをするなど気をつけていても
むし歯になりやすい人がいます。
むし歯は誰もがいつでもかかる病気ではありません。
インフルエンザが大流行してもかかる人とかからに人がいます。
むし歯も、やはり細菌感染症です。むし歯にかかりやすい人とかかりにくい人がいるのです。
さらに、なりやすい歯とそうでない歯があります。
なりやすい部分とそうでない部分があります。
なり易い時期もあります。
むし歯ができるわけを考えればなるほど納得です。
歯はいくつもの条件が重ならないとむし歯にはならないのです。
-今までのむし歯予防に欠けていたもの-
う蝕(むし歯)とは、歯の表面にベタベタしたノリのようなプラーク(バイオフィルム)をつくった細菌が、
歯からミネラルを奪って、歯の組織を破壊する病気です。
う蝕原因菌のつくるプラークは、飲食のたびに酸を作り、歯のなかからリンやカルシウムを奪います(脱灰)。
しかし唾液が酸を中和し、さらに奪われたリンやカルシウムを歯のなかに戻してくれます(再石灰化)。
歯の表面では、揺れ動くシーソーのようにこれを繰り返しています。
このバランスが崩れると一方的に歯のミネラルが奪われ、ひどくなると歯の組織が崩れ、破壊され、穴があいてきます。
う蝕という病気は、このようにからだのバランスが崩れている傾向を言います。
たとえば糖尿病が、糖の消費と生産のバランスが崩れて、血液の中の糖の量が
多くなる傾向をいうのと同じです。
いったん穴があいてしまったむし歯は削って詰めなければなりません。
しかしむし歯が治ったわけではありません。しかも削った分だけ不利な条件をかかえ込むことになります。
大切なことは、ひとりひとりのお口の中で起きている「脱灰」と「再石灰化」のバランスを分析し、リスクを把握した上でコントロールすることです。
このことが本当のむし歯の治療なのです。従来の「予防」の考え方ではこのような視点が欠けていたために、
充分な成果が上がりませんでした。
わたしたちの診療室では予防先進国の北欧で開発されたサリバテスト(唾液検査)を使った「リスク検査」と
呼ばれる検査法を用いることにより、信頼できる「新しいむし歯予防」のシステムを完成しました。
このシステムは以下の項目についてリスク(危険度)をチェックします。
①ミュータンス菌の数 ②ラクトバチラス菌の数 ③プラークの蓄積量
④飲食の種類と回数と時間 ⑤唾液の緩衝能 ⑥唾液の質と量
⑦フッ化物と利用状況 ⑧むし歯の経験 ⑨レーザーむし歯診断 など
これらのリスク検査により、診査・診断します。
その上で立案した発症抑制プログラムに沿ってリスクコントロールとプラークコントロールを行っていきます。
むし歯を引き起こしたり、再発させないために、プラークの増殖を抑制し、
悪影響を及ぼさない程度にいつもコントロールしていることが大切です。
そのために、ご家庭で自分で行うホームケアと、わたしたちでなければできない専門家による
プロフェッショナルケアを組み合わせることが有効です。
<<ホームケア>>
・ブラッシング・フロッシング
・フッ化物利用・キシリトール等
<<プロフェッショナルケア>>
・フッ素塗布 ・食事指導
・PMTC(歯のクリーニング)
・3DC(ミュータンス菌の除菌) 等
6才臼歯は歯の王様
6才前後に、乳歯の奥に乳歯より一回り大きい第一大臼歯が生えてきます。
この6才臼歯は永久歯の中でも一番大きく、ものを噛む力も一番で、
永久歯の歯ならびと噛み合わせの中心的な働きをします。
しかし、生え始めは歯質が弱く、歯の溝も深く、しかも完全に生えるまでに約1年もかかるため
汚れやすい時期が長く、非常にむし歯になりやすい歯です。
生涯自分の歯で何でも良く噛み、おいしく食事を楽しむには、
この6才臼歯の健康をいかに守り育てていくかが鍵となります。
歯ならびと噛み合わせ
良い歯ならびと正しい噛み合わせへの関心が高まっています。
それは歯や口に影響するだけでなく、全身の健康や精神面に深く関わっています。
歯ならびの治療は、健康を損なわないための予防の一つなのです。
咀嚼や嚥下(飲み込むこと)は、さまざまな筋肉や連携プレーで成り立っています。
歯は、そこにかかるさまざまな力のバランスの上に、その位置を保っています。
歯ならびの乱れ、つまり歯のアーチがくずれていたり、上のアーチと下のアーチの噛み合わせが不適切だと、
この連携プレーや力のバランスに障害が起き、さまざまな異常が現れることがあります。
また歯ならびの状態によっては、むし歯や歯ぐきの病気にかかりやすくなります。
そのような問題を未然に防ぐことが、矯正治療の役割です。
歯の矯正治療は、みかけだけの問題ではなく、実は悪くならないように予防するという、
知的な生き方に対する価値を持っているのです。
口腔筋機能療法(MFT)
最近、うまく物が噛めない、うまく飲み込めない、口をいつも開けているなど、
お口の周りの筋機能がしっかり発育していない子供が増えてきています。
健全な口腔機能の発育のためには、口腔筋機能療法は大変大きな意味をもっています。
気になることがありましたら、いつでもお気軽にお尋ねください。